映画『アイリス・アプフェル 94才のニューヨーカー』を見に行きました。

  ドキュメンタリー・フィルムです。

 80才でデビューした94才のファッション・アイコン。

 若い頃から夫とふたりで旅をし、服やアクセサリーや家具、小物などを買いまくり、着まくって、ある時、それをメトロポリタン美術館で展示したら、みんながそのセンスにワーッと驚いた。

 夫は101才の誕生日直前に亡くなったが、「妻がドンドン金を使う」と、ヘラヘラしていました。いいねえ。

 テレビや雑誌の取材や、若い人への教育にヒーヒー言いながらも、

「重病じゃないなら自分を駆り立てて外へ出て、調子の悪さを忘れる。」

 のだそうな。世界で初めて、ジーンズをはいた女性だということです。

「美人じゃなくて良かった。美人は年をとると何にもなくなってしまう。」

 という彼女はニューヨーク大卒で、歴史も経済もファッションセンスには必要だと語る。さらに、

「ファッションセンスなどなくても、幸せならそれでいい。皆が好きな服を着るべきだと思うから。」

 だって。相当に格好いいよねえ。

「服も、アクセサリーも家具も、人間が物を所有することはできない。私にあずけられているだけ。だから次の人に渡す。」

 と、倉庫を整理する様子も感動的だった。私より33才年上ということは、辛い時代も経験して来ただろうに、こんなに楽しがっている最晩年のおばあちゃんに、ワクワク、ドキドキした。

「重いネックレスは、30分で帰れる日じゃないと使わない。」

 と言いながらも、ジャラジャラのキラキラだった。どこからどう見ても格好いい。広~い家と、たくさんの倉庫が、まるで博物館のようでした。

「値段交渉には美学がある。」そうな。