HOUSE of CARDS

 安倍総理が冗談で、

「麻生さんには見せたくない」

 と言ったドラマだと聞いて見始め、何度も何度も中断(というか挫折)して、やっと見終える。

 こんなに主人公に一点の感情移入もできない、というよりできればすれ違うのさえ憚れるような人物もないものだと思いながら、いらいら、ぐずぐずと見ていたのだが、最後の最後の場面で、自分でもどうしようもないほど感激してしまった。

 きっと後世に名を残す大統領になるのだろうと思った。

 回転が早く、スキがない。あれに夢中で、これを見損なうということがない。

 昔、田舎の高校生だった頃、”外見より中身だ”と言われていた時分、そんなことを言う先生に対して、

「田舎者め!世の中には両方そろっている人が五万といるのだから、女子高生に外見の価値観を否定しちゃだめだ!」

 と、心の中で悪態をついていたのだが、何だかそれと似た感情が湧き上がって来た。

 権謀術数を用い、上昇志向が強く、名誉欲と権力欲がある主人公は、それと同程度かあるいはそれ以上の政治能力があるに違いないと思わせる。

 この夫婦の関係も私には実に魅力的で、我ながら“病んでいるのかもしれない”と思ってしまった。